バターは“罪”?バターとともに変化したシュトーレンの味わいと歴史的背景を探る!

シュトーレンにまつわる贖罪の物語
こんにちは、イワナガ焼菓子店です。
今回は、スパイスとお酒が香る当店自慢のシュトーレンの“昔むかし”のお話、【シュトーレン歴史探訪2day】のはじまりです。
テーマは「バターが禁じられていた時代」と、ある日ローマ教皇が出した“許可状”についてです。
バターが使えなかった時代のシュトーレン

15世紀のドイツ。
キリスト教世界では、クリスマス前の4週間を「アドヴェント(待降節)」と呼び、
この期間中は断食や節制が厳格に守られていました。
つまり…
- × 肉はNG
- × 卵・チーズ・牛乳・バターなど乳製品もNG
- × 甘いものや贅沢品もご法度
シュトーレンも例外ではありません。
今のようなバターたっぷり・フルーツ入り・砂糖まぶしの姿とは違い、
当時は、小麦粉・水・酵母・菜種油だけで作られた、**非常に質素で硬い“断食パン”**だったのです。
ドイツの叫び:「バターを使わせてくれ!」
ドイツの人々は、ある大きな問題に直面します。
それは、代替として認められていたオリーブオイルが手に入らないという現実。
「贅沢をしたいわけじゃない。けれど、菜種油すら高価で、オリーブオイルなんてとても…」
困り果てたザクセン公エルンストとアルブレヒト兄弟は、ついにある行動に出ます。
なんと、ローマ教皇インノケンティウス8世に“直談判”の手紙を送ったのです。
歴史を動かした「バター許可状」
1491年。
教皇からついに返事が届きます。
「特別に、バターの使用を許可する。
ただし、その代わりに**“贖罪金”を支払うこと。**
集められたお金は、教会や貧しい人々のために使うこと。」
この文書は「バター許可状(Butterbrief)」として知られ、
ドイツの焼き菓子文化にとって、大きな歴史的転換点となりました。
バターが使えるようになった代償

バターが使えるようになったことで、シュトーレンの味は劇的に変化します。
- 食感がしっとりと柔らかく
- 風味がより深く、贅沢な香りに
- 上流階級の間で人気が広がっていきました
ただし、バターの使用には対価が伴うため、
この時代の“リッチなシュトーレン”は裕福な家の特別なお菓子だったのです。
では、いつから“甘く”なったの?
とはいえ、この時点ではまだ「砂糖」や「ドライフルーツ」は贅沢品。
庶民の口に入るようになるには、もう少し時代を進める必要があります。
次回は、「甘さ」と「果実」がどうやってシュトーレンに加わったのか?
その背景を、交易や食文化の広がりとともにひもといていきます。
どうぞお楽しみに。
今に続く、くつろぎの時間
イワナガ焼菓子店では、
このような歴史に思いを馳せながら、**“現代のくつろぎ時間に寄り添うシュトーレン”**をお届けしています。
スパイスとお酒がふんわりと香る一切れ。
その背景には、文化・信仰・時代を越えて紡がれてきた物語があるのです。
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