そもそも、シュトーレンって何???

この記事では、シュトーレンとは何?を深掘りしていきたいと思います。
シュトーレン自体が、私がこのパティシエの仕事についた十数年前に比べると
パティスリーや百貨店、某テレビ・ニュースに取り上げてもらったりと数多くの方々が知ってくれているかと思います。

ただ現在、関西を中心にマルシェなど出店をしていると
お客様の中にはシュトーレンって何?というお声が多いのも事実です。
特に男性のお客様。普段、お菓子を食べない方からすると何?って感じですよね!

シュトーレンとは?

日本でもクリスマスの定番スィーツと知られるようになったシュトーレン(Stollen)。
たっぷりのバターが入った生地にドライフルーツやナッツなどが練りこまれたパン菓子です。
ドイツ発祥の伝統的なクリスマスケーキであり、特にドイツやオーストリア、スイスなどの中欧諸国で非常に人気のあるお菓子です。

由来は?

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シュトーレンという名前はドイツ語で「坑道」を意味し、
砂糖に包まれた麗しい見た目から白いオクルみに包まれた幼子イエスをイメージしていると言われている。

その起源は、14世紀のドイツに遡ります。
当初、シュトーレンはクリスマスの時期にお祝い事に使われ、祝祭的な位置づけでした。

パン職人のギルド(組合)が司教にクリスマスの贈り物として献上した記録が残されています。
アドヴェント(待降節)と呼ばれる、12月25日のクリスマスまでの4週間、イエス・キリストの降誕を待つ期間(断食期間)に食べられていました。

クリスマスまで毎日スライスして食べることで、キリスト降誕を待ち望むとともに、
ドライフルーツの風味が徐々に生地に馴染んでおいしくなることです。
「今日より明日」とクリスマスまでの時間をより楽しめる、素敵な伝統菓子です。

だから、パティスリーや百貨店などでも11月上旬頃から販売されるのも、こういった意味があります。
ちなみに私は毎年、沢山のお店のシュトーレンを購入しています。
毎日、一切れずつ食べようと決意するのですが、手が止まらず直ぐに食べてしまいます(笑)

シュトーレンの歴史をさらに詳しく!!

発祥の地とされるドレスデンで「シュトーレン」が作られた起源は、14世紀にまでさかのぼります。

当時のシュトーレンは現在のような柔らかいパンではなく、水と酵母と小麦粉を練って作る質素な焼き菓子の1つでした。

当時のドイツでは、宗教の関係でバターやミルクなどの乳製品は決まった期間でしか口にすることができませんでした。

そのため、限られた食材の中でお菓子が作られていたそうです。

ザクセン選帝侯エルンストらがその状況を改善しようとバター禁止令廃止の請願をした結果、1491年に「バター食用許可証」をもらうことができ、街にバターの使用が広がったそうです。

その後、現在のような柔らかく美味しい「シュトーレン」が誕生しました。

日本では諸説はありますが、1969年に福岡県の老舗洋菓子メーカーがドイツからレシピを持ち込んで製造し、販売されたのが最初と言われています。

その後、ドイツパン研究会やドイツパン・菓子勉強会などで広める活動があり、少しずつシュトーレンが認知されるように。

シュトーレンの食べ比べイベントが開催されたり、人気のパン屋や洋菓子店では販売してすぐに完売するほど、近年は全国的に人気が高まってきています。

真ん中からスライスして、毎日一切れずつ

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シュトーレンは、クリスマスまで毎日一切れずつ食べることを想定しているため、保存料なしでも日持ちするように作られています。

一般的には、腐敗しにくい洋酒(※Minimalでは使用していません)やバターを使い、高温で焼き上げることで水分量を減らし、砂糖で表面をコーティングして内部に空気を入りこみにくく仕上げています。

毎日スライスするときのコツは、シュトーレンを端から切らずに、真ん中から切り始めることです。
こうすることで、切り終えたあとの切り口を密着させてラップに包み、切り口の乾燥を防げます。

クリスマスに「スパイス」は欠かせない!?

ドイツ語で「クリスマスのスパイス」を意味する「ヴァイナハツ・ゲビュルツ」という単語があるほど、ドイツでは「クリスマスとスパイス」は切っても切れない関係と言われています。

中世ヨーロッパでは、東洋からもたらされるスパイスが貴重品であったことから、当時の人々にとってキリスト教と同様に思い入れの強いものだったそうです。

まとめ

この記事では以下の内容を説明しました、、、。
□シュトーレンの起源は?
□シュトーレンの歴史をもっと詳しく!!
□シュトーレンの食べ方

参考文献:『シュトレン ドイツ生まれの発酵菓子、その背景と技術』(旭屋出版)