シュトーレンのはじまりは“断食パン”?現代との意外な違い

最古の歴史と、意外なルーツのお話

こんにちは、イワナガ焼菓子店です。
スパイスとお酒が香る、当店自慢のシュトーレン。


でも――
「昔のシュトーレンには、バターも砂糖も入っていなかった」って、ご存知ですか?

今回は、そんな知られざるシュトーレンのはじまりを、少しだけ旅してみましょう。

【シュトーレン歴史探訪1day】の始まりです!

シュトーレン最古の記録は、1329年

時を遡ること14世紀。

シュトーレンの歴史は、最も古い記録は1329年のドイツ・ナウムブルクに辿り着きます。
この年、ナウムブルクの司教がクリスマスの贈り物としてシュトーレンを正式に認めたとされているのです。

けれど、当時のシュトーレンは――

今のようなしっとりとした甘さや香りは、まったくなかったのです。



同じ頃、日本では――

一方で、 日本では室町時代(1336年〜1573年)が始まろうとしていました。
足利尊氏が幕府をひらき、京都を中心に武家文化が花開きはじめた頃です。

一方、ヨーロッパでは暗黒の時代ともいえるペストの大流行が…。
(このペスト菌を後に発見したのが、あの北里柴三郎。現在の千円札の肖像ですね。)

こうした時代背景を知ると、 当時の人々がどのようにシュトーレンを食べていたのか、さらに興味が湧いてきますね!

宮廷と、修道院の「断食パン」

やがて15世紀になると、シュトーレンは貴族や王侯の間でも広く食べられるようになります。

特に、ドレスデンの宮廷では、クリスマスの特別な献上品としても扱われていました。

ですがこの頃のシュトーレン、まだまだ質素。

なんと…

  • × バターなし
  • × 砂糖なし
  • × 非常に硬いパン

いわば「断食期間に食べる修道院のパン」のような存在だったのです。

では、なぜ今のようなリッチな味に?

現在のシュトーレンといえば…

  • バターたっぷり
  • ドライフルーツやナッツ入り
  • お砂糖で白くおおわれたリッチな味わい

でも、当時は乳製品も禁止された厳格な宗教的背景がありました。

それは「アドヴェント」と呼ばれる、クリスマス前の4週間の断食期間のため。

  • 肉はもちろん、卵・牛乳・チーズ・バターなどの動物性食品はNG
  • 食用油は、オリーブオイルや菜種油のみ(しかもドイツでは貴重だった)

つまり、バターを使うことすら「罪」とされていたのです。

形だけは今と同じように、“おくるみに包まれた幼子イエス”を模していたと言われていますが、
味わいはまったく別物だったわけですね。

次回予告:「バター許可状」の物語

でも、今のシュトーレンにはしっかりとバターが使われています。
「じゃあ、いつからOKになったの?」という疑問が湧いてきますよね。

実は、ここに登場するのが**“バター許可状(Butterbrief)”**という歴史的事件!

次回の「シュトーレン歴史探訪②」では、
ドレスデンの君主がローマ教皇に直談判したという驚きのエピソードをご紹介します。

どうぞお楽しみに。

すこしだけ、現代の話

イワナガ焼菓子店では、そんなシュトーレンの歴史に思いを馳せつつ、
**スパイスとお酒が香る“現代のくつろぎ時間のためのシュトーレン”**をご提案しています。

伝統とともに、今の暮らしに寄り添うひとときを。

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